冒険もの!と見せかけて実は…というギャップが魅力の「勇者たち」。
浅野いにお作品らしさは残しつつも、他の作品とはあらゆる面で異なる作風になっています。
そのため、浅野いにおファンも新鮮な気持ちで楽しめる作品となっています♪
かわいいキャクター達の集う表紙とは裏腹に、ちょっぴりダークな大人向けのストーリー。
そんな勇者たちの魅力や人気の理由を、浅野いにおファンの私が解説していきます!
目次
勇者たちの基本情報とあらすじ
まずは勇者たちの基本情報とあらすじから!
勇者たちは浅野いにお作品の中では珍しく、WEB連載されていた作品です。
そのため、単行本も白黒ではなく2色刷りのカラーで印刷されています。
ちょっと特別感があっていいですよね!
また、冒険ものとはいっても、勇者たちのメインテーマは「愛」や「勇気」ではありません。
では、一体何をテーマにしているのでしょうか?
後ほど詳しく解説していきます!
勇者たちの基本情報
コミック原作者 | 浅野いにお |
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連載 | マンガワン |
ジャンル | 冒険/異世界/ファンタジー |
個人的にもっと読まれて欲しい。この漫画を読めば運気が上がって札束風呂確定です。→勇者たち #ビッコミ https://t.co/5ZeRpxA1l7
— 浅野いにお/Inio Asano (@asano_inio) May 30, 2023
あらすじ
「暗黒」を倒すために、王都から勇者たちが森に放たれました。
ゆめちゃんをはじめとした、勇者たちは姿や形、性格もそれぞれ違います。
ある時、暗黒を倒した勇者たちが、帰路につこうとしますが、”ハエの王”には帰る場所がありませんでした。
彼を擁護する者、彼を拒否する者、口では受け入れつつも目を背ける者。
そうした不毛な議論の中で、ハエの王は”三杯酢”を誤って殺してしまいます。
その夜、ハエの王は暗黒に飲み込まれてしまって…?
平成末期型異世界冒険譚開幕!
勇者たちの人気の理由と見どころ5つ!
キャッチーでかわいらしいキャラクターが表紙にずらっと並んだ勇者たち。
そんな表紙と裏腹に、実は作品のテーマはとってもシリアスで重いテーマになっています。
しかし、そんな重いテーマをあえてキャッチーに描いており、そのギャップが魅力の作品です!
実はファンの中でもそんなに知名度が高くないようで、まだまだ伸び代のある作品です!
そんな勇者たちの魅力を詳しく解説していきます!
①善悪という答えのない問いをテーマにした作品
「勇者たち」と聞くと、異世界ファンタジーを連想する人も多いのではないでしょうか?
キャッチーで印象的なキャラクターがたくさん登場する今作は、それぞれ何かすごい”異能”を秘めていそうですよね!
しかし、勇者たちは異世界冒険ものではありません。
愛や勇気で敵を倒す…!という展開は期待できない作品です!
「え、そんな冒険もの面白くないじゃん!」とガッカリしましたか?
いえいえ、ご心配なさらず!
冒険ものというのはあくまでフィールドの設定にすぎず、本来の今作のメインテーマはもっと哲学的なものになっています。
それは、
善悪や正義は人の数だけあるということです。
ここ近年、SNSの普及によって”炎上”を見かけることが増えてきたように感じます。
その度に、ネット上ではたくさんの人々が自分の正義を振りかざして戦争が起こっています。
勇者たちでは、そんな社会の様子をあえてコミカルな漫画として描いています。
1話では、暗黒を倒した勇者達が”ハエの王”をめぐって口論になります。
始まりは、ゆめちゃんの「皆で帰ろう」という悪意など微塵もないさりげない一言でした。
しかし、ハエの王は暗黒によって故郷が滅ぼされてしまい、帰る場所がないことからゆめちゃんはもっと気を遣うべきだと責められます。
周りの者はハエの王が臭いことに不満をもっており、彼を介抱することを拒否します。
そうした口論の末、ハエの王は唯一養護してくれていた三杯酢のことを1番見下されていると感じ、誤って殺してしまいます。
その夜、誰にも受け入れてもらえなかったハエの王は暗黒と化ししてしまいます。
物事の善悪は人のの価値観の物差しによって違い、上辺だけの関係性では分かり合うことは難しい…。
悪意のない発言が発端になることや口先だけの養護に何の意味がないこと、なにより1人の敵を作ることで完成する人々の団結力の恐ろしさがこの作品では描かれています。
どうでしょうか、皆さんの想像していた冒険ものとは全く違ったのではないでしょうか?
それでもきっと、この物語の結末が気になって仕方ないはずです…!
私達の社会にはびこる、終わりなき戦いにハッピーエンドはあるのでしょうか?
ぜひ、物語の結末を見届けてください!
②キャラクターの魅力がすごい!
浅野いにお作品といえば、最近は漫画らしいキャラクター性のある作品が増えてきましたよね。(デデデデやMUJINAなど)
浅野さんはどちからといえば”ストーリーを読ませる”タイプの漫画家なので、あまりキャラクター性の強い作品は多くはない印象です。
しかし、先述しました通り、勇者たちはキャラクター性の強い作風となっています!
『勇者たち | 浅野いにお』
なんじゃこれなんじゃこれー!!!こんなぶっ飛んだマンガ描けるのすごい…(褒めてる)
読みおえた後の虚無感がすごい…(褒めてる)
面白いというか、なんというか、興味深い…(褒めてる)
🤣😳🙂🙃←こんな感じになりました笑#マンガ pic.twitter.com/UtwRZiRYY9
— ゆずはむ (@yuzuhamu02) March 26, 2023
表紙にずらっと並んだキャラクター達は、人間もいれば虫や動物をモチーフにしたものまで様々。
かわいい女の子もいればわにやうさぎのような動物に、化け物まで!
ユニークなデザインのキャラクターが勢ぞろいしています。
そのうえ、彼女たちは名前も面白いんです!
ややわに、ウサ公、プリンセス・ズベタ、三杯酢、チュニーキン・文・春、ブラパンダ、やばいの…などなど!
見た目そのまま、ひねられずに付けられた名前が面白くて思わずクスッとしてしまします。
どの名前がどのキャラクターか分かりますか?
私はなんだかんだ三杯酢が好きです…!
浅野さんがどういう思いでつけたのかは分かりかねますが、1日3回美容のために美酢とか飲んでそうだなって思いました(笑)。
キャラクターと名前からそんな風にストーリーを生み出せるのもすごいですよね!
物語の後半にしか登場しないキャラクターもいるので、ぜひお気に入りの子を探してみてください!
③浅野いにおといえばループもの!ループものの新境地
浅野いにおといえば、ループものですよね!
1番分かりやすい作品でいうと「虹ヶ原ホログラフ」ではないでしょうか。
短編作品が多い浅野さんは、ループものがとても多いです。
勇者たちでは1話ごとに1ループします!
ループものが多い浅野さんといえど、中々ここまでループする作品も珍しいです(笑)!
そんな勇者たちで多用されるループを浅野さんは「単純な構成」とおっしゃっていましたが、全ての伏線を回収してループさせる技は並大抵のものではないように思います。
ループ時代に深い意味は無いのかもしれませんが、私は読んでいて「ループさせることにも意味があるのでは?」と感じました。
ループには繰り返すというイメージがありますが、それを踏まえてストーリーを鑑みると…なんだか意味深です!
ループするごとに少しずつ変化していく模様を、じっくりお楽しみください!
④最近では珍しい二色刷り!
ここ近年の漫画といえば、白黒がほとんどですよね。
また、急速に発展してきたWEB漫画はフルカラーであることがほとんど。
しかし、
勇者たちは昔ながらの二色刷りで描かれているんです!
『勇者たち』発売中です! pic.twitter.com/K8t9jFB5lf
— 浅野いにお/Inio Asano (@asano_inio) November 14, 2018
レトロな雰囲気で懐かしさを感じる風合いですよね!
ここ最近では滅多にお目にかかられないので、逆に新鮮で新しさを感じます!
勇者たちはWEB連載されていた漫画なので、フルカラーも可能だったはずですが、そこをあえて2色で…というところがかっこいいですよね!
段々赤く染まっていく扉絵がゾクゾクする!
勇者たちでは、各話ごとにキャラクターが集合している扉絵が描かれています。
その中のキャラクターで暗黒に飲み込まれてしまったキャラクターは、消えてしまいます。
そして、キャラクターが消えるごとに背景が段々赤く染まっていくんです…!
最初は案外気づかないのですが、中盤くらいで急に赤くなるのでゾワッとします!
物語が一気に進み、盛り上がっていく感じがゾクゾクします!
これもカラーならではの楽しみですよね♪
怖いな~怖いな~と思いつつも、続きが気になってページを捲る手を止めることができません。
ぜひ、扉絵の変化も楽しんでください♪
⑤古典的なコマ割りで漫画らしさを追求した作品
勇者たちでは、作風に合わせて古典的で単純なコマ割りが採用されています。
このいい意味でこだわりすぎていないコマ割りが新鮮で読んでいて楽しいです!
単純な構図になっているので、ストーリーが頭に入ってきやすい印象でした。
また、コマ割りに限らず暗黒に飲み込まれていく際の破滅を印象付ける表現も、まるでドラえもんのような古風さがあって味わい深い作画になっています!
このような古典的な仕掛けやキャラクター性を意識することで、
より漫画らしさが追求された作品になっています!
他の浅野いにお作品とは違う魅力がふんだんに詰まった作品です!
ストーリーを意識してしまいがちですが、ぜひ作画にも注目して読んでみてください!
勇者たちをオススメできる人できない人
ここまで勇者たちの人気の理由や見どころなどについてお伝えしてきました。
勇者たちは、キャラクターの印象が強く、一見どんな方でも受け入れられるような作品に思われますが、実際は好き嫌いの分かれる作品だと感じます。
そこで、勇者たちをオススメできる人、できない人について簡単にまとめてみました!
オススメできる人
- 浅野いにお作品が好きな人
- 答えのない問いについてあれこれ考えるのが好きな人
- ご都合主義の作品ではスッキリできない人
- ダークな雰囲気の作品が好きな人
オススメできない人
- バトルや冒険ものが好きな人
- ハッピーエンド以外は認められない人
- 明るく楽しく作品を楽しみたい人
これまで何度も繰り返してきたように、勇者たちは冒険やバトルものの作品ではありません。
むしろ、冒険やバトルものの作品を好んで見る方にとっては、夢も希望も感じられない今作は少々苦痛に感じると思います。
また、全体を通して明るくユーモアのある雰囲気に見せていますが、物語の本質となるテーマが暗いので、ユーモアの中にも黒々とした闇を感じる作品です。
そのため、ギャグやほっこり日常系をイメージしても裏切られる作品です(笑)。
しかし、「善悪や正義は人の数だけある」という哲学的なテーマを掲げている作品なので、答えのない問いについてあれこれ考えるのが好きな人にはオススメです!
まとめ
いかがでしょうか?
勇者たちの人気の理由や見どころについてまとめてみました!
表紙やタイトルとのギャップに驚く人が多い作品ですが、浅野いにおファンには間違いなくオススメできる作品です!
ほろりと涙する展開もあり、もっと色んな人に読んでほしいなと思います♪
単行本1冊分というボリュームなので、サクッと読むことができますよ!
最後までお読みいただき
ありがとうございました!