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虹ヶ原ホログラフは暗くて難解?その理由と見どころをネタバレなしで解説!

浅野いにお作品の中で最も難解かつ陰鬱だと評判の虹ヶ原ホログラフ。

1度読んだだけでは理解するのは難しく、人によっては何度か読み返す必要がありますが、陰鬱な内容から諦めてしまう方もチラホラ。

しかし、何度か読み返してみると分かりますが、この物語は難解な分だけとても面白いんです!

また、浅野いにおさんが初めて描いた長編連載作品なので、ファンは必見の作品です!

そんな虹ヶ原ホログラフの人気の理由や見どころを、浅野いにおファンの私が解説させていただきます!

虹ヶ原ホログラフの基本情報とあらすじ

まずは虹ヶ原ホログラフの基本情報とあらすじから!

虹ヶ原ホログラフは浅野いにお作品の中で、初期に近い作品になっています。

しかしながら、初期といえども難解かつ完成度が高く、美しい作品です。

その理由は後ほど詳しく解説させていただきます!

虹ヶ原ホログラフの基本情報

コミック原作者 浅野いにお
連載 Quick Japan
ジャンル ヒューマンドラマ/サスペンス

あらすじ

「虹ヶ原」という町を舞台に、あらゆる少年少女の生きづらさや葛藤を描いた作品。

11年前にこの町で起きた少女暴行事件は、世間では忘れ去られつつあるものの、少なからず関わった人々に影を落とし、彼らは生きづらい社会でもがいています。

子供達の間で囁かれる”トンネルの怪物の噂”、家族だけが知る秘密、蝶の異常発生など…あらゆる糸が複雑に絡み合って、事件は続いていきます。

心を病み破滅願望を抱えながらも、現代社会でもがく人々を描いた、新世紀黙示録。

虹ヶ原ホログラフはなぜ暗い・難解と言われるのか?

浅野いにお作品は、「暗い」「バッドエンドが多い」「読んでいると疲れる」…など、あまり良いイメージを持っていない方も多いです。

おやすみプンプンを読んだ人は、この傾向が強いように思います。

しかし、プンプンよりぶっちぎりで暗く、読み返すのもしんどくなる作品が存在します!

それが、虹ヶ原ホログラフです。

では、なぜ暗いと言われるのでしょうか?

その理由を詳しく解説していきます!

暗い理由①:ギャグ要素が0%

先に挙げたおやすみプンプンは、少なからずギャグっぽい要素がありました。

しかし、虹ヶ原ホログラフはギャグ0%で構成されています…。

それにも関わらず、次々ハードな展開が待ち受けているので、合わない人は合わない作品です。

また、浅野いにお作品の中でギャグ要素のない作品といえば、”零落”も挙げられます。

零落はリアリティーが重視されているため、ファンタジー要素のある虹ヶ原ホログラフより暗いと思われがちですが、実際は虹ヶ原ホログラフの方がより暗いです。

暗い理由②:暴力・いじめ・殺人など、犯罪的要素が多い

ストーリーの中に、暴力やいじめ、殺人を含む作品は珍しくはありません。

しかし、虹ヶ原ホログラフはその比率が極端に多い作品です。

進めども進めども出てくるので、中々明るく楽しく読むことはできません。

また、先述した通りギャグ要素もないので、いったん落ち着いて読み進められる、”箸休め”のような箇所もほとんどありません。

この2つの要素が合わさって、虹ヶ原ホログラフは暗い作品と言われています。

難解といわれる理由は?

先ほど虹ヶ原ホログラフが暗いといわれる理由をお伝えしました。

次に、”難解”といわれる理由について解説していきます。

まず、1つ目の理由は

時系列が入り組んでいるからです。

虹ヶ原ホログラフは現在と過去のストーリーが交互に構成されています。

なおかつ、語り手となる登場人物もコロコロ変わっていくので、かなりじっくり読み進めなければ全体を把握することは難しいです。

私は場面転換するたびに「コイツは誰だ…」となりましたし、誰と誰がどういう関係なのか混乱して分からなくなりました(笑)。

確かに難解ではありますが、最後まで読み切ると美しくまとまっていて、浅野さんがデタラメに描いているわけではないことがわかります。

ぜひ、諦めずにゆっくり読み進めてみてください!

虹ヶ原ホログラフの人気の理由と見どころ5つ!

ここまで、虹ヶ原ホログラフが暗い・難解といわれる理由についてお伝えしてきました。

もしかすると、ここまで読んで「やっぱりやめておこうかな…」と諦める方もいっらしゃるかもしれません。

しかし、私はそんな方にもぜひ諦めずに読んでいただきたいです!

暗くても難しくても、きっと「読んで良かった」と思える作品になっています。

その理由を詳しく解説していきます!

①浅野いにおが初めて自由に描いた作品!

虹ヶ原ホログラフは、浅野いにお作品の中でも初期の方に描かれた作品です。

”素晴らしい世界”の連載を経て、Quick Japanの方から「何か描いていただけませんか」とお話があったんだとか。

そこで初めて

浅野いにおが描きたいものを詰め込んだ”虹ヶ原ホログラフ”が生まれました!

「こんな作品はもう描けないと思います」という、単行本の帯コメントも痺れます…!

こんなに設定が練られた作品が初期の作品であることに、浅野いにおという漫画家が只者ではないことが伺えます。

虹ヶ原ホログラフは、ネット上でも「浅野いにお史上、最もぶっとんでる作品」と言われています。

その評判から手を付けられていないファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は、虹ヶ原ホログラフはファンの方にこそ読んでいただきたいなと思っています!

浅野さんが描きたかったことがぎゅっと1冊に濃縮されていて、この作品を読むことで他の作品もより面白く読むことができると思います。

漫画家・浅野いにおが何に興味があり、何を恨めしく思い、何を描きたいと思うのか。

ぜひ作品の中で見つけてみてください!

②とにかく美しいループする世界

浅野さんはループものを描くのが得意な漫画家さんです。

代表的な作品としては、今作の他に「ひかりのまち」が挙げられます。

虹ヶ原ホログラフは浅野いにおが描くループものとして

最高峰に君臨する作品です!

張り巡らされた伏線やエンディングでカチッとハマる構造が、とにかく美しいです。

エンディングを迎えて初めて世界の構図がわかる世界になっており、これはプレステの『SIREN』というゲームを参考にされたそうです。

読んでいる最中は混乱する場面もあり、1度読んだだけでは「ん?」と首を傾げてしまう方もいらっしゃるかも。

しかし、2度3度繰り返し読んでいただくと、あまりに美しい円環構造にため息が漏れること間違いなしです!

ぜひ、設定を整理しながら根気強く読み返してみてください!

③人間の二面性にゾクゾクする!

浅野さんの作品では、しばしば「二面性のある人間」が登場しますよね。

プンプンやデデデデ、零落は分かりやすいかなと思います。

虹ヶ原ホログラフでは、登場人物のほとんどが二面性を持っています!

まるですごいことみたいに言いましたが、実は当たり前のことですよね。

現実を生きる人間の中に、二面性を持たない人間なんてそうはいないものです。

誰しも、他人には見せない裏の顔が存在します。

浅野さんは、そんな人間の二面性に興味があるんだとか。

虹ヶ原ホログラムでは、そんな人間の二面性がとても極端に表現されています。

作中の登場人物の裏の顔が現れた時の、「ぞくぞくっ」とする感じがたまりません!

えぐいくらい狂っているにも関わらず、妙にリアリティがあって、そこがまた物語の隠れたスパイスになっているように感じます。

先ほど「登場人物のほとんど」が二面性を持っているとお伝えしましたように、たった1人この作品の中で二面性を持たない人間が存在します。

鋭い刃のように尖った作品の中に存在する唯一の天使を、ぜひ探してみてください♪

④破滅願望から生まれた世界観

浅野いにお作品は、どの作品も「世界の終わり」を感じさせるものが多いですよね。

プンプンやデデデデなんかも終末感を感じる作品です。

なぜ、「世界の終わり」を感じさせる作品が多いのか?

ノストラダムスの大予言は、知らない方はいないくらい世間を騒がせましたよね。

1999年7月に人類が滅亡すると言われた、アレです。

浅野さんはその影響を強く受けた漫画家の1人です。

世界滅亡を心のどこかで”期待”していたにも関わらず、いつもと同じように平和な世界が続いていったことへの「白け」が作品に強く影響しています。

浅野いにお作品では、その「白け」の中で死んだように生きていく人やなんとか抗おうとする人が描かれていることが多いです。

世界を終わらせることができる「ブリキの箱」

虹ヶ原ホログラフでは、ブリキの箱というキーアイテムが登場します。

主人公のアマヒコが入院中にもらったもので、「願いが1つ叶う」と言います。

いつでも自分で世界を終わらせることができるというのはどういう気持ちなのでしょうか?

なんだか玉手箱のようですよね。

さて、アマヒコはこの箱を開ける日が来るのでしょうか?

その時、彼は何を願うのでしょう。

ぜひ浅野いにおが作った虹ヶ原ホログラフという世界の行く末を見届けてください!

⑤虹ヶ原は実在している!?

作中では幻想的な場所として登場する虹ヶ原。

実はこの場所、実際にある場所をモデルに描かれたんだとか。

浅野さんが通っていた小学校の土手に!”にじがはら”という土手があったんだそうです。

作中でも登場人物が勘違いしていますが、浅野さんもレインボーの”虹ヶ原”と思っていたそうです。

しかし実際は、”二児ヶ原”だったようで、この勘違いをアレンジして作中の設定に使われています。

浅野さんの地元である茨城県町田市がざっくり舞台になっているので、そのあたりに存在しているのかもしれませんね。

今作はロケハンして描かれたわけではないようで、町の風景は多少異なるようですが、実際に歩いて幻の土手を探してみたいですね♪

虹ヶ原ホログラフをオススメできる人できない人

ここまで虹ヶ原ホログラフの人気の理由や見どころなどについてお伝えしてきました。

暗い・難解といわれる点からも分かるように、虹ヶ原ホログラフは万人受けするような作品ではありません。

そこで、虹ヶ原ホログラフをオススメできる人、できない人について簡単にまとめてみました!

オススメできる人

  • 浅野いにお作品が好きな人
  • 「世界の終わり」というテーマが好きな人
  • 明るい作品より暗い作品を好む人

オススメできない人

  • 暗い作品が苦手な人
  • 暴力的、犯罪的な描写が苦手な人

普段から明るい作品を読まれる方には、この作品は正直しんどいと思います。

暴力的な描写が多い点で、浅野いにお作品を読み慣れている私でもつらかったです。

しかし、それでもオススメしたい理由があります。

それは

絶望の中に差す、ほんの少しの光がに感動したからです。

最後まで読んでいただければ、この作品が決して暗いだけでない作品であることが分かると思います。

特にラスト数ページは、何度読み返しても胸の内が熱くなるのが分かって、例えようのない感情が溢れ出してきます。

今、世の中に、自分の人生に絶望している人にこそ、読んでいただきたいなと思う作品です!

まとめ

いかがでしょうか?

虹ヶ原ホログラフの人気の理由や見どころについてまとめてみました!

虹ヶ原ホログラフは、浅野さんの熱量がバシバシ伝わってきて、そういった点でも読んでいて感動する作品です。

浅野いにおファンは必見ですよ!

最後までお読みいただき

ありがとうございました!

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