チェーンソーマンは面白いのか?つまらないのか?海外でも人気なの?などと知りたくて辿り着いてくれたあなたへ。チェーンソーマンは、つべこべ言わず考えず読むべき漫画であることを断言する。
少し雑な言い方をすると「いいから読むべし!」、「絶対に後悔しないから」だ。
理由、面白いから。
何がどのように面白いのかは、これからじっくりと説明していくが、それなりに年齢を重ね少年の純粋な心を失いかけてきていた…そんな偏屈な私が読んでも胸に突き刺さるモノがあったのが、チェーンソーマン。
近年稀に見る傑作漫画と言っても過言ではないだろう。
漫画の表紙を一見すると「なんじゃこりゃ?!」となる人や暴力的なイメージ!?と思う人もいるかもしれないが、チェーンソーマンはそんな表面的な部分で判断すべきではない、底知れぬ面白さがある漫画なのである。
では一体、チェーンソーマンは何がどう面白いのかを解説していこうと思う。
執筆者:しんたん
合理的な判断を常とするが、義理人情に厚く善悪をハッキリと発言するオス猫。趣味は、失神寸前まで行う筋トレ。特技は、キックボクシングでハイキックは打てません。サウナ命。 |
チェンソーマンとは
チェンソーマンは2019年から週刊少年ジャンプで第1部「公安編」の連載が始まり、現在は第2部の「学園編」が少年ジャンプ+にて連載中。作者は「ファイアパンチ」で注目を集めた藤本タツキ。2022年10月からはテレビ東京系列にてアニメの放映も開始された。
最近ではアメトークではチェンソーマン芸人の特集が放送され、登場人物の早川アキがananの表紙を飾ったことで、マンガ好き以外の人からの認知度も上がっているようだ。
チェンソーマンのあらすじ
チェンソーマンの主人公は16歳の少年デンジ。彼は死んだ父親が遺した借金を「金を返すか命で支払うか」とヤクザに迫られていたところ怪我をしている悪魔・ポチタと出会い、助けるために自分の血を与える。
同時にポチタもデンジを助けるという契約をし、借金返済のためにデビルハンターの道を選ぶ。
そして、学もない金もないド底辺のデンジが、相棒(バディ)のパワーや上司のマキマと共にデビルハンターとして悪魔と戦い、成長していく話だ。
チェンソーマンの登場人物
主人公のデンジ。性格は欲望に素直でバカ。
デンジのペットであるポチタ。正体は不明。
デンジの相棒・パワー。虚言癖で見栄っ張りでウンコはたまにしか流さない女子。
デンジとパワーの世話役・早川アキ。家族を銃の悪魔に殺された復讐に燃える心優しい青年。
内閣官房長官直属のデビルハンターであり、デンジの所属する公安対魔特異4課のリーダー・マキマ。
画像の引用元:チェンソーマン公式サイト
チェンソーマンはなぜ人気があるのか
チェーンソーマンの人気の理由や面白さを全部語れば本一冊書けそうだけど、簡単にまとめる。
正義はない
主人公のデンジに正義の心は全くない。敵と戦うモチベは美女のおっぱい揉むため、ベロチューするためである。でもアンチヒーロー的なわざとらしい偽悪的な描写はない。
ナチュラルに人の心がなく、欲望に素直なだけのクズがデンジだ。
ワンピースのエースの死亡シーンを見て笑ってしまったそこのひねくれおっさん。あんたには多分刺さるよ。
グロい爽快感
最初に読んだ印象はとにかくグロい。登場人物は腸を首に巻いていたり、垂れ下がった脳みそをリボン結びにしていたり、見た目のインパクトがかなりヤバい。
バトル自体はハンターハンターのような頭脳戦や心理戦もなく、主人公のデンジもバカで意味不明なことを叫びながらチェーンソーを振り回すだけである。読む人を選ぶ作品であることは間違いないが、このグロさと単純明快さの描写が爽快感を生んでいるのである。
伏線や描写の妙
コマ割りや描写がすごく映画的で読んでいてすごく流動感がある。それでいて伏線や謎も多く、TwitterやYoutubeではファンに寄る考察コンテンツが溢れている。
皆で最終回に向かう筋書きを追いながら、描写の妙を楽しめるのが良い。
世界観が作り込まれているので、ちょっとしたセリフや描写にもついつい何か意味があるんじゃないか?と深読みをさせられてしまうのである。
チェンソーマンを読んでどういう気持ちになるのか
登場人物みんなあっさり死ぬし、とにかくグロいし、博愛主義も崇高な理念もない。あるのは暴力と性欲と裏切り。だが、この作品の根幹は愛なのだ。
おっさんの私たちはもう、恋人が不治の病になっただの、キモヲタが異世界転生したら世界を救う勇者になってただの、ありきたりの不幸やご都合主義的なヒロイズムには酔えない。
でもチェンソーマンには愛がある。酸いも甘いも経験したおっさんでも感情移入できる純粋な愛があるのだ。少年漫画のプロットを持ちつつ、おっさんの心に刺さる素晴らしい漫画なのだ。
私は9巻~11巻を読んで泣いた。人の儚さや家族愛をこれだけ説得力を持って描写した作品が他にあるか?
チェンソーマンをオススメできる人
- 冷めてる人
- 映画好きな人
- 説明過多な漫画が嫌いな人
- 作品を深読みするのが好きな人
チェンソーマンをオススメできない人
- わかりやすい描写の漫画が好きな人
- 勧善懲悪的なストーリーが好きな人
- グロいのが苦手な人
海外でも人気が爆発
アメリカのコミックスの売上ランキングではデスノート、鬼滅の刃などの名作と並んで上位に入り、アメリカ最大のマンガ賞であるハーヴェイ賞では史上初となる2年連続で大賞を受賞するなど、海外でも大人気なことがうかがえる。
海外で人気の理由は?
ハーヴェイ賞は過去に僕のヒーローアカデミア、AKIRAなどが受賞していて、日本でも馴染みのある賞であるが、海外人気の理由は作者・藤本タツキの映画好きに起因していると思われる。
チェンソーマンの元ネタとなったのは、チェーンソーを持った殺人鬼・レザーフェイスが街を恐怖に陥れるスプラッター映画「悪魔のいけにえ」であったり、他にも映画からインスパイアされているストーリーや描写が多々見受けられるのだ。
アニメのオープニングでも映画からのオマージュが多々有り、ファンの間では元ネタ探しで盛り上がっていた。
チェンソーマンのOP、こんなオマージュだらけだったのか。藤本タツキが好きな映画かき集めたんだろうな
pic.twitter.com/fJlZx00UtO— べいび医 (@tsuraibaby) October 11, 2022
世界観はキリスト教の影響を受けている?!
登場人物に天使階級の名前がついていたり、ヨハネの黙示録の四騎士が登場するなど、キリスト教的な世界観に影響を受けた設定が多い。
藤本タツキの前作「ファイアパンチ」でもインド神話からの引用があったが、設定の帳尻を合わせるために宗教を取り入れているのではなく、宗教が自然と世界観に溶け込んでいる描写であり、そうした空気感が西洋社会では受け入れられやすかったと予測できる。
まとめ
印象に残るシーンなどを語ろうとすると全てネタバレになってしまうので、かなり曖昧な言い方になってしまった…。
が伝えたいことは、チェーンソーマンに少しでも興味があるあなたにおすすめしたい作品ナンバーワンがチェンソーマンだ。まずは一巻だけでも読んでほしい。
テンポはかなり良く第1部の公安編は全11巻で終わるのに、ものすごく内容が詰まっている。そして、短い時間ですぐ読める割に読了感の重たさが半端ないのだ。この密度の高さはジャンプでは幽遊白書以来ではないか。
この記事を読んでいる皆さんがチェンソーマンを読むことで、なにか感じるものがあるとしたら私も嬉しい。生活ですさんだ心への清涼剤となる名作であることは保証する。