GIANT KILLING(ジャイアントキリング)とは日本語で「番狂わせ」という意味の言葉であり、弱者の戦略が強者を倒す(小よく大を制す)とも解釈できます。サッカーではよく使われている用語ですが、今回初めて聞いた人もいると思います。
漫画のタイトルにもなっているGIANT KILLINGは、面白いです。面白くないワケがないじゃないですか!
ちなみに、FIFAワールドカップカタール2022。日本VSドイツの試合、すごかったですよねー!優勝候補のドイツ相手にまさかのジャイアントキリング!
あの興奮が蘇(よみがえ)ってくるほどに面白いです!とまで言いませんが、サッカーファンのみならず、サッカーのルールがよくわからない人でも必ずや面白いと感じる漫画です。
そんなサッカー漫画のGIANT KILLINGをまだ未読の方の中には「面白いの?」、「人気の理由は?」、「内容はどんな感じ?」とお考えかと思いますので、GIANT KILLINGの魅力をたっぷり解説していきます!
執筆者:しんたん
合理的な判断を常とするが、義理人情に厚く善悪をハッキリと発言するオス猫。趣味は、失神寸前まで行う筋トレ。特技は、キックボクシングでハイキックは打てません。サウナ命。 |
目次
GIANT KILLINGとは
GIANT KILLINGは2007年からモーニングで連載を開始して、15年間看板作品として人気を博している作品です。原作は綱本将也、絵はツジトモ。2010年にはNHKでアニメも放送されました。
2022年11月現在単行本は61巻まで発売されていて、モーニングの中では「クッキングパパ」「島耕作シリーズ」と並ぶ長期連載作品になります。スポーツ漫画でここまで長く連載している作品は珍しいですよね!
GIANT KILLINGはなぜ人気があるのか?
一言でいうと、大人でも楽しめる戦略論と少年漫画的なロマンを一緒に楽しめるからでしょう。
非現実的な必殺技や精神論で奇跡を起こすのではなく、綿密な戦略を持ってコツコツと勝ちを重ねていく過程を体験できるのが面白いんです。
でも理論めいた話だけではなく、苦境にあえぐ弱小チームが優れた監督に導かれて強くなっていく少年漫画的なカタルシスもあります。
勧善懲悪の無邪気なバトル物に感情移入できるほど若くはないけど、熱いノリは好き!っていう20代30代の人に受けているんだと思います。
個人的には、各キャラクターの内面にしっかりスポットを当てているところに注目しています。話の展開を優先するあまり、個人の思いをないがしろにするような作品ではなく、登場人物全員がしっかり自己主張をしつつ、全体ではキレイにまとまっているバランス感が大好きです。
GIANT KILLINGを読んでどういう気持ちになるのか
この作品を読んでいると、昔の失敗を思い出してあーっ!と恥ずかしい気持ちになることもあれば、会社のプロジェクトで大成功を収めたときの事を思い出してニヤニヤすることもあります。
私達がこれまで会社で経験した人間関係や仕事のわずらわしさ、達成感等がそのまま描かれてるんですよね!
努力だけでは成功できない、正しい事が周りに受けいられるとは限らない、一人でやるより皆でやるほうが早い。部活や就労経験を重ねる中で学んできた過程を、漫画によって再体験させられている気分になります。
GIANT KILLINGをオススメできる人
- 取り柄のないヲタクがクラスの女子にモテモテだったり、異世界へワープした途端に無双するご都合主義的な漫画に忌避感を覚える人。
- 中間項をじっくりと楽しみたい人
- スポーツ漫画が好きな人
- 漫画の描写に裏付けや理論を求めてしまう人
- 現実的な漫画が好きな人
GIANT KILLINGをオススメできない人
- 漫画に夢を求めている人
- 小難しい話より勢いで漫画を読みたい人
- スポーツ漫画が好きではない人
GIANT KILLINGのあらすじ
あらすじを簡単に解説していきます。
弱者の戦略が強者を倒す。“It’s ジャイアントキリング!!”
低迷を続ける日本の弱小プロサッカー・クラブETUに一人の男が監督として迎えられた。
男の名は、達海猛(たつみたけし)。イングランド5部のアマチュアクラブを、FAカップでベスト32に導き、プレミアリーグのクラブをギリギリまで追い詰めた手腕の人物だ。
そんな彼に古巣のクラブが白羽の矢を立てた訳だが、チーム内は開幕前から騒動ばかり、
果たしてこの起用は吉と出るか、凶と出るか!? 引用元:NHK
達海監督招致へ
日本代表にも選ばれるスター選手であった達海猛はイギリスのプレミアリーグへ移籍しましたが、怪我によって引退をしました。
達海が過去に所属していた日本のチーム、ETUのGM後藤恒生と広報の永田有里は、達海が今はアマチュアチームの監督をしているという噂を聞き、イングランドへ向かいます。
達海はイングランド5部リーグのチーム、イーストハムをFAカップベスト32まで導き、監督としても才能ある人物だったのです。それを知った後藤と永田は、低迷するETUの救世主として達海に監督をやってもらうよう要請をします。
最初は渋っていた達海でしたが、二人の熱意に負け彼は日本に帰ることを決意します。
達海監督就任
ETUへ就任した初日、達海は今控えにいる若手が今後のレギュラーになることを告げます。反発する選手に対し、現レギュラーと控えの紅白戦を提案する達海。そこで達海は控えの選手を率いて、3-0で勝ってしまうのです。
試合後に達海は、ETU一筋のベテランであり選手からの信頼も厚い村越からキャプテンマークを剥奪します。リーグ開幕前キャンプでも監督と選手の溝は深まっていき、チームは混乱したままプレシーズンマッチが始まります。
リーグ開幕へ
プレシーズンマッチにて、2年連続でリーグ優勝を果たしている強豪・東京ヴィクトリーを相手に同点で引き分けたETU。選手達はここにきて達海の考えを理解し始め、冷静に自分を見つめ直した村越も改めてキャプテンとしてチームを引っ張っていくことになりました。
そしてリーグ戦が開幕。ETUはなんと5連敗をしてしまい、会長は怒り狂い、サポーターは達海の責任を問う中、ぺぺ、カルロス、ゼウベルトのブラジル人3人トリオを擁する強豪・名古屋グランパレスとの対戦を迎えます。前評判では圧倒的不利な中、ETUは2‐0で今季の初勝利を収めます。
善戦を重ねるETU
その後スランプの時期はあれど、チーム得点王・夏木のケガからの復帰、期待の若手・椿の躍進、ETU初の日本代表選手である赤崎の活躍などで、ETUは昨期までの低迷が嘘のように驀進していきます。
その後オールスター戦、日本代表戦などを挟み、リーグは後半戦へ。果たしてETUはリーグで優勝することが出来るのでしょうか。
GIANT KILLINGのキャラクター
メインのキャラクターは
主人公でありETUの監督、達海 猛(たつみ たけし)。
ETUのMFであり期待の若手、椿 大介(つばき だいすけ)。
ETUの守備的MFでありベテランの村越 茂幸(むらこし しげゆき)。
ETUの攻撃的MFでありイタリア人と日本人のハーフのルイジ吉田、愛称はジーノ。
ETUのGMであり、元選手の後藤 恒生(ごとう こうせい)。
ETU会長の娘であり、広報も務める永田 有里(ながた ゆり)。
の6人。彼らを中心に、リーグジャパンフットボール1部の弱小チームETUがリーグ優勝を目指して奮闘していく話です。
画像の引用元:TVアニメ『GIANT KILLING』公式サイト
リアル感
GIANT KILLINGの一番の売りはリアル感だと思います。サッカークラブの運営内部からクラブハウス内部のデザインまで、選手の苦悩からサポーターのチームへの想いまで、とにかく丁寧に描写されているんです。
作者が綿密な取材を重ねていることがよくわかります。
それでいてサッカーヲタクにしか受けなさそうなマニアックな作品ではなく、初心者でも楽しめるエキサイティングな展開、テンポの良さもあります。
アイシールド21やヒカルの碁もそうですけど、本当に面白い作品はルールを知らなくても楽しめるものなんですよね!
GIANT KILLINGの登場人物の姿はサラリーマンそのもの
GIANT KILLINGの登場人物の姿を見ていると、彼らはサラリーマンそのものだ…と、感じられます。
なぜかというと、チームの収益化を考える会長、チーム人気を上げるために宣伝をする広報、自分が活躍するために努力する選手、チームを勝たせる戦略を練る監督・・・。
登場人物全員が信念に基づいて行動をしていますが、各個人にとっての正解が、組織にとっての正解であるとは限りません。
商業主義と勝利至上主義、個人の活躍とチームの勝利など、それぞれの想いがせめぎ合う中でチームとしての完成度を高めていく過程は、我々が普段会社で経験していることと一緒です。
ゆえに、共感できるシーンがいくつも出てくるところが面白く人気があるのだと思います。
まとめ
GIANT KILLINGは、サッカーファンのみならず、サッカーのルールがよくわからない人でも面白いと感じる漫画です。
なぜなら、サッカーを通じて展開される内容は、私たちが現実の社会で生きていく上で「あぁ、わかるわぁ」、「あるよねこういうことって…」というような既視感を覚える内容と重なり合っているからです。
そんなGIANT KILLINGは、サッカーチームという莫大な金額のお金や大勢の人が交差する組織で繰り広げられる壮大な群像劇です。
仕事で悩みを抱えている人や達成したい目標に向かって日々懸命に頑張っている人の心に必ず刺さるでしょう。
きっと「あぁGIANT KILLINGを読んで(観て)良かった…」という気持ちになるはずですので、ぜひ漫画やアニメを鑑賞してみてください。
サッカーも人生も、GIANT KILLINGがあるから面白い!
とても名言の多い作品ですが、最後に私が一番好きな言葉を紹介して終わろうと思います。
「もともと対したFWじゃねぇ。プライドなんてあってないようなもんだ。
でもよ、このポジションはそう簡単には譲れねぇ。周りの能力を引き出してやる。状況に応じてチームのためのプレーをする。それがここで生き残るための、今の俺のFWとしての牙のむき方なんだよ!!」